2011年12月6日火曜日

室戸の入口に、花


実際は11キロあったわけですが、あたしたちの予想では、羽根岬からキラメッセまでは8キロくらい。2時間頑張ればつくかなー、休憩しながら行っても、2時間半くらい?
いやいやところが。

とある地図によると、田野から室戸岬までに、羽根岬とキラメッセと行当岬が等間隔に並んでるように見えたんです。 つまり田野から残り30キロちょっととして、それぞれ8キロくらいずつ。

が実際は、キラメッセまでは長く、キラメッセと行当岬のあいだは2キロもないのです。
なんとなんと。

羽根岬を出発したものの、相変わらず真っ暗、足は痛いしあーるはつらそうだし、サポートで一緒に歩いてくれてるちーちゃんもだいぶ足にきているみたい。
会話もだんだん減ってきます。
時々思い出したように「せーんろはつづくーよー」と歌ってみるものの、みんないまいちノれない。

ただ、この頃星がものすごくきれいでした。
暦は上弦の月。
月が傾いて、いよいよ星が輝いて。
ときどき空を見上げては、星みて感動しよう!といいながら歩を進めます。
星は無数にあるんだってことを、実感しました。

そろそろ眠くなっていて、休憩で座るたびに眠りかけました。
あーるは痛すぎてまったく眠くならなかったらしいけど。
歩きながらも半分寝てました、ときどき。
夢と現のはざまで、幻覚のようなものを見ながら歩き続けました。笑
前を歩いてる人が巨人になったり、そのへんの草が休憩してる人に見えたり。

キラメッセの前には小学校があって、町があって、それからまだずーっと行くとやっとキラメッセらしい、と予測しながら、しかしなかなか町すら見えてきません。
坂を上って、おりたら町か!?と思うとまだ道が続いていて。
4時にあたしの弱音がツイッター上に打ち上げられました。

こんな時間に起きていて、励ましのメールを送ってくれた相方さんに感謝。
「ここ踏ん張り所よ~」って。

そろそろ明るくなるかなぁ、というころ、ちーちゃんがギブ。
ちーちゃんは帰りの車を運転しなきゃならないから、つぶれるわけにはいかない。
お迎えを要請したら、キラメッセにいたであろうヨットの子たちが一瞬でお迎えに来てくれました。車だとそんなに近いの!?とちょっとショック。
向かいに見える岬の、その手前にキラメッセがあるはずなのです。

二人になって、また歩き出しました。もう二人とも無言です。
ときどきあたしが小声で「せーんろは・・・」って歌ってみるけど、さすがに調子が出ません。めっちゃしんどかっただろうに泣きごとを言わないあーるはほんとすごい!向こうのほうが年上だけど、そう思いました。

だんだん夜が明けてきて、明るくなったらテンションもすこし回復。
いやー太陽って偉大だね!

やがて、「もうどうだにばし」という橋に出会いました。
小さな橋に、ひらがなで名前が。
「もうどうにでもなれ~」に見えて、ちょっと親しみを覚えました。
あたしの気持ちを代弁してくれてありがとう。もうどうだにばし。
ちなみに盲堂谷橋と書くらしい。

だんだんテンションも上がり、気温も上がってきた気がして、道端の花に気付く余裕が出てきました(たぶんあたしだけ)。
懸命に歩くあーるの前後をちょこまかしつつ、お、癒し!と思った花を写メ。
カメラ預けちゃったのがちょっと悔やまれました。

 


可愛い紫。


こっちは水仙?とおもったけどちょっと違うかな・・・

写真撮って遅れては小走りで追いつくので、あーるには「すごいね、、」と言われましたが、走るのと歩くのってぜんぜん別物らしくて、意外と平気だったりします。(それは今になってもそう)

それから、朝焼けで雲が綺麗だったので空も。


撮るたんびにいちいち見せるあたしに、疲れてただろうにちゃんと応対してくれてありがとう。あーるの優しさを感じました。


やがてキラメッセまで500mの看板が見えて、
キラメッセの駐車場こちら の看板が見えて、
7時ちょっとすぎ、キラメッセ到着。

ヨット部の子がまた待っていてくれました。
ちーちゃんもちょっと足ひきずりながら来てくれました。

左の小指にもテーピングを巻き、有痛性外脛骨のとこにエアサロをし、
あーるにもエアサロ。


ちょっと裸足でアスファルトの上を歩いたら、ひんやりしてて非常に気持ち良かった。
きもちいいー!ってちょっとはしゃいでて、また妙に元気な子を演出してしまいましたわ。
6年生たちにも出会いました。

靴を履きなおし、いよいよ室戸岬に向けて最後のスタートです。
ちーちゃんも、「室戸岬で待ってるよー!」と言って送り出してくれました。

ラスト10キロ。
ゴールまで残り4時間半。

道路は続くよ 室戸まで


安芸を出てしばらくのところに、コンビニがありました。
たぶんスリーエフ。

買い物したかったわけじゃなくて、

これです。



ちーちゃんが言ってたのはこれのことね。

途中にもイルミネーションしてる家はあったけど、これは元気が出ます。
毎年やってくれているらしいです。

ほかの貫歩者も写真撮ってました。

よしっと元気を出して、またまた出発。
車の話をしたり、工場が好きな話をしたり、大きな声で盛り上がります。

道の駅大山には、わりとすぐ着きました。21時半前。
足に水ぶくれの気配を感じたあたしはテーピング、ひざ裏が痛いあーるはエアサロ。

はたして、右足の小指に、なかなか巨大な水ぶくれができていました。
小指の腹の部分、まんなかから内側にかけて、広範にぷくぷくしてます。
「触るときもちいいよ!」
と言ったらあーるに、「コメントに困る」と言われてしまいました。

血豆にはなってなかったけど、これは痛いはずだわ。

普通に立ってても薬指が若干小指を踏みつけにしてるあたしの足。遠い昔に履いてたトゥシューズのせいだと思うのですが。そりゃ12時間も歩いてたら水ぶくれもできるわな。
ゆるめにテーピングを巻いて、踏みつけられないようにしてみました。

しかし、いたい。
踏みつけにならなくなったものの、つま先に体重がかかるとこう、圧迫されて、水がまだ皮の浮いてない先っぽのほうを押すので、いたい。
でもつぶしちゃうと治りが遅くなるので何となく嫌で、放置を決め込みました。
オンナは痛みには強いのですよ。

水ぶくれ一つにこんなに語ってしまいました。この調子でムロカン記はまだまだながくなりそうです・・・汗

さて、テーピングとエアサロを終え、大山しゅっぱつ。

相変わらず大声で話し、テンションを上げるために歌も歌い始めました。
なんとなく思いついて、「せーんろはつづくーよー どーこまーでーもーー」
ところが、歌詞を思い出せない。

野を越え山越え谷越えて、・・・なんだっけ?

しょうがないからランラン歌ってたら、あーるがスマホで探してくれました。
さすがスマホ!とここも盛り上がります(あたしは携帯の電池をケチりました笑)。

線路は続くよ どこまでも
野を越え山越え 谷越えて
はるかな町まで 僕たちの
楽しい旅の夢 繋いでる
2番以降もあったけど、1番だけで満足。

「どこまでも」続くのはやだ、、とちーちゃんが言って、替え歌制作。

道路は続くよ 室戸まで
野を越え山越え 海越えて
はるか室戸まで 僕たちの
楽しい旅の夢 繋いでる

歌いまくって、もうこれは今回のテーマソングです。
会話が途切れると歌い、足が疲れてくると歌い、思い出したら歌いました。
大声で歌うと、痛みも軽くなる気がするから不思議です。音楽ってすげーー。
ちーちゃんはハモり、あーるは合の手を入れてくれました。

おもちゃのチャチャチャも歌いましたが、歌詞をぜんぶ思い出せなくて断念。
お馬はみんな、ぱっぱか走る~
って歌ったらあーるが、同じ曲で、「こぶたのしっぽ、ちょんぼりちょろり~」
て歌詞もあるって教えてくれました。初めて聞いた・・・メジャーなのかな?

そんな感じで楽しく歌いながらずんずん進みます。
相変わらず時間6キロくらいを維持して、前の人に追い付いたら抜かします。
まわりにこんなに賑やかに歩いてる集団はいなかったので、かなり元気そうな3人組だったんじゃなかろうか。とにかく、疲れを吹き飛ばすべくテンション高めでいきました。住人のみなさま、うるさかったらごめんなさい、、

大山から9キロ先の田野駅がつぎのポイント。
室戸に入る前の最後のコンビニがあります。

途中、あーるの足が虚血になる・・・
ということで、安田の「輝るぽーとやすだ」なる場所で休憩しました。
まだ、休憩所っぽくない場所では休憩したくなかったあたしたち。
道端で座るのをためらうくらいには元気だったのです。

軽ーくマッサージして、2枚ばきの靴下を1枚脱いで、あーる休憩。
あんまり休むと歩き出しが辛いので、そこそこで出発しました。
出発したばかりの時はちょっと歩きにくいんです。
体が歩き方を忘れちゃった、みたいな。
やっぱり疲れは溜まってるんですね~

田野に着いたのは23時半過ぎ。
夜の間でゆっくり休憩できるのは、ここが最後かもしれない、ということで、しっかりめに食べて、休んで、買いこみました。
ここを過ぎると次のポイントはキラメッセ室戸。ずーーっと先なのです。
あたしもパワセン以来ずっと1枚ばきで来てた靴下を2枚にしました。
多めに買った食料はサポートに預けて、ちょっとでも荷物を減らそうと、当分使わなそうなカメラも預けました。だって真っ暗。街灯もわずか。

0時を回って、田野を出発。

したものの、あーるの足がやっぱりやばくて、せめてテーピング巻こうか、ということで数百メートル進んだところでサポート召喚。
街灯の下で、見よう見まねのキネシオぺたぺた。
ちゃんとテーピング技術を学ぼうと密かに思いました。
闇雲なテーピングは逆に体に悪いし。

田野から走ってあたしのバッグ持ってきてくれたヨット部の子、まじありがとうでした。

ここから先は羽根岬を目指します。
あーるがスマートなフォンで調べた地図によると、かなりかなり先らしい。

田野57.2キロ
羽根岬65.3キロ
キラメッセ76.2キロ
行当岬77.8キロ
室戸岬87.7キロ

(以上ぜーんぶあたしのマップファン検索による)

これによるとたった8キロなんだけど、たかが8キロ、されど8キロ。
街灯はほとんどなく、懐中電灯がなければ道は真っ暗。
さすがに貫歩者もばらけてきて前後には誰もおらず、ここまでの疲れと足の痛さ。
だいたい8キロって、10分の1ですよ。全行程の約10分の1。けっこうなキョリ。

つーわけで、大変でした。
ツイッター記録によると2時間半弱で行ったらしいから、まあ時速4キロ弱は維持してたみたいだけど、いやはや。
精神的にも辛くなってきて、歌を歌うのも途中でちょっと飽きてきて、100メートルおきくらいに生えてる街灯を数えることにしました。
ちーちゃんの応援にも励まされたなー。
あの街灯まで行ったら休もう、とか、バス停見つけて座ったりとか、ちょいちょい足を休めます。

見えてるのになかなか近づいてこない、オレンジの街灯と、白い街灯をあわせて32個数えたところで、やっとこさ羽根岬。時間は2時半。
もう、それはもう、達成感でいっぱいでした。
ここが一番感動したかもしんない。

羽根岬とかぜんぜんメジャーじゃないけど、もう忘れらんないね。
とはあーるの談。
「田野の先には羽根岬ってのがあってねー、これが遠いんだよ」
とか語っちゃうね。

感動のあまり持っていた携帯で写メ。


懐中電灯の光、こんなもんです。
けっこうハイパワーなんだけどな、頼りないもんだな。

夕方までの温かさとは一転、だいぶ冷え込んでいたので、休憩するとすぐ体が冷えます。でも、休憩しないとつらすぎる。
少し休んで、チョコとか食べて、ストレッチして。
ここはサポート場所じゃないから、サポーターに会えるわけでもないのです。

次はいよいよ、キラメッセを目指します。
夜明けまでに到着、を目標に。
だいぶペースが落ちてるけど、まだまだがんばれる。はず。


ゴールまであと9時間半!